【短編】あの日見た夢は、今。
「おお、やっぱ好きだったんだね!」
「な……っ!お前なぁ!!」
すごい。
こんなことがあるんだろうか。
否――
あっていいのだろうか。
25年も前に死んだ人間が、こうして現れ、当時の想いを果たそうとしているなんて。
考えもつかない。
「分かったよ!渡しとくね」
そう笑うと、彼は安心したのか、微かに微笑んだ。そして、いつの間にか、その場から消えていったのである。
私はすぐに自分のカバンを取り、自宅へ向かった。
“もう1つだけ、伝えて欲しい”
“俺は――……”