【短編】あの日見た夢は、今。
「さっき、だよ……?」
「はぁ? さっき……」
お母さんはそのまま、封筒を開いて中身を読み始める。しばらくすると、目からは涙が流れ始めた。
「……! どうして……?」
「え……」
――……
――……
「……加藤義正」
ぼそりと呟く。
「加藤義正……は、お母さんが高校の時、好きだった人よ」
――え!?
あたしは言葉を失った。それより何より、最初は何がなんだか分からなかった。
お母さん、両想いだったんだ……