都会ジャングル
泣けないうさぎ
都会のど真ん中、ゆっくりと顔を上げ空を見る。
本当は、果てしないほど広い空のはずなのに…
高いビルに囲まれ空はわずかしか見えない。
まるで檻の中にいるようでなんだセツナイ。
―三年前―
両親が離婚。
理由は、父の性格の変貌。
仕事や家庭が上手くいかなくなり、性格が荒々しくなったのだ。
事あるごとに私を殴ったり、母を蹴ったりしていた。
「そんなの俺は悪くない!」
いつものように父の怒鳴り声が母親一点をさすように響く
理由はわからない。
困惑した母の顔が少し離れた私の部屋から見える。
母の震えたかすかな「ごめんなさい。」という声が私の頭の中にいつまでも残った。
苦しくて悲しくて18歳の私は声を殺して泣いた
父が機嫌を損ねその日は家を出た
しばらくして、母が私のところへ来てこう言った
「ごめんね」と。
今度は…
泣いていた。