ウイニングラン~夢をこの手につかめ~
その頃ピットでは、


哲弥の指示でたまらずペースダウンのサインボードを出していた。


「すみません、浜さんの断りもなく、


でも昨日とコースコンディションが違います、


こんなに飛ばしたらタイヤが持たなくなります」


「構わんよ、


先行逃げ切りを狙うとはいえ、


さすがにこれは飛ばし過ぎだ」


それでも翔矢はペースを落とすことなく、


数周を走り続けた、


そのたびにピットではペースダウンのサインボードを出し続け、


12周目にようやくペースを落としたが、


それはピットサインに従ったわけではなく、


タイヤが滑り始めたからであった。
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