*君の全てを愛してる*
『前原から俺の事聞いた?』



「・・・うん」



『そっか』
『俺、少年院入ってたんだ』



「うん」



合間合間に相槌を打つ。



『妹は今、母親と暮らしてるんだけど・・・』
『殺人者の俺は少年院から引き取ってもらえなかった』



「うん・・・」



淋しそうな言葉と声に胸が締め付けられた。



『まあ、当然と言えば当然なんだけど』
『少年院を出ても周りが俺を見る目は変わらなかった』



「うん・・・」



『正直、周りとか如何でもよかったんだ』
『・・・最初は』



「うん・・・」



『でも高森は他の奴らと違った』
『俺の事を知らないから、てのもあったけど』
『それでも俺は嬉しかった』



「そんな事───・・・ッ」




涙が出そうになった。




『この関係が壊れるのが怖くて、俺は真実を高森に話せなかった』
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