【完】プリンセス
廊下で喋ってた、チンピラ陽呂と目が合った。
何故かビビッて目を逸らしてしまった。
「あ、陽呂君、こっち来るね」
え?
愛未……楽しそう?
いや……顔赤くなるって、絶対っ!
だって、チンピラだけど、かっこいいって思っちゃったんだもん。
チンピラだけど……。
「心菜さん、愛未さん」
目を逸らした時から背を向けて小さな悪あがき。
かけられた声にビクッと波打つ体。
「やほー、陽呂君……あっ林君だ♪ じゃーねっ」
「は? 愛未?」
私に見向きもせず、林君を発見して一目散に走って行った。
この場に私と陽呂だけ残すわけ?
さっき愛未が変な事、言うから……。
顔見れないっちゅうのっ!
「心菜さん?!」
「はい?」
陽呂の声が、あまりにもデカイもんだから、裏返った声に敬語。
目を丸くして私を見る陽呂から、ゆっくり下に目線を落としかけた瞬間。
「何ですか?
そのギャル化は?!」
あ……
すっかり忘れてた。