【完】プリンセス
私が赤いシャツを掴んだと同時に落ちたボール。
跳ねる音が響く体育館。
「そんなスカートの長さ、有り得ませんよ?」
そう言いながら、優しく笑う。
「メイクも濃すぎです」
真っ黒の目の周りに手をあてる。
「胸……ブラウスのボタン留めて下さい?」
え?
ふと、胸元に目をやると見えそうな位、開いてる。
そだ……エロカッコイイのがいい。
とか言われて開けられたのを思い出した。
クラスの皆は、もっと酷かったから麻痺してたんだろなぁ……なんて思いながら、
慌ててボタンを留め直した。
跳ねてたボールが転がり始め、その音までもが大きく響く。
そして静かに止まると……何の音も響かない体育館に2人だけの空間が出来た。