【完】プリンセス

「あ、そだ」

「なに~? もうすぐ出口なんだから早く出ようよー」


後ちょっと歩けば出口。
外からの明かりが、少し入る方を見ながら立ち止まった。


出口寸前で思い出したんだから、仕方ねーだろ。
出たら……柏原居るしな。


「柏原に……俺達の事、言って下さいね?」

「は?」


その場でウズウズする心菜の少し怒った声。

でも今は関係ない。

これだけはハッキリさせなきゃな。


「だから、付き合ってるって事です」


……なんで俺、また敬語なんだ?

やっぱ心菜にお願い事する時は、敬語が抜けねーみたい。





「言ったけど?」





え?

今、何と?



驚く俺に、もう1度言う心菜。



「だから、言ったって。壱には」

「え? まじで?」

「愛未も知ってるよ?」

「えぇ? まじで?」

「だから、遊園地も誘って貰ったんだもん」



へ?


次々と驚く言葉に、完全に頭が回らない。



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