【完】プリンセス
「デートとか自分から恥ずかしいし。
いきなり2人なんて無理だって言ったら愛未が、生徒会の打上使おうって……」


まじで?

心菜……そんな事、思ってくれてたの?


「なのに、陽呂……沙耶ちゃんと仲良くしてるし。
沙耶ちゃんが、壱の事好きなのは聞いたけど……何か」

「それってヤキモチ?」


素直に頷く心菜を、抱きしめた。


「ちょっ、陽呂こんなとこで恥ずかしいって……」


腕の中でジタバタするのを押さえ


「俺も……俺も妬いたから。柏原に」


と素直に言ってしまった。


「え?」

「だから、柏原とは、必要以上関わらないで?」

「……うん///」

「本当なら、話もしないでって言いたいとこだけどね?」


これは、本心。

俺って、かなり独占欲が強かったらしい。
今頃、自分で気が付いた。


そう言って心菜の唇に軽くキスしたら……


「だからっ!こんなとこで止めてって!」


って怒られた。



そして出口まで走って行っちゃった心菜。


雰囲気とか……なし?
って、お化け屋敷でキスする俺も……どうなんだ?

心菜が先に出たお陰で一瞬明るくなったお化け屋敷の中。


その明かりが漏れる方へと続いた。




外に出ると、赤い顔の心菜を心配してる愛未さん。

大方、怖くてそんな事になってるんだろうって思ってんだろな?



そして、俺を睨んでる柏原。
横で笑ってる沙耶。



睨みながら、そばに来て


「付き合ってるくせに、汚ねーマネしなきゃ駄目なんだ?」

「はぁ?」

「言っとくけど、俺まだ諦めないからね? せいぜい頑張れ、川合」


そう嫌な笑顔を残して、沙耶のとこに戻って行った。



何だよっ?!
その余裕の顔は!



心菜は、俺の彼女だっつーの!
ぜってぇー渡さないからなっ!




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