【完】プリンセス
てかてかてかっ!
じゃあ、結婚したら……とか思っちゃってたけどさ?
皆、結婚前にしちゃってる子多いよね?
今時、結婚後……なんて少なくない?
って事は……私も……
その……
あれ……
うわ……
また変な想像へと走った私は、両手にお湯をすくい顔を洗った。
それでも、顔の赤みは取れなくて。
私の頭の中に想像された事は消えなくて。
「心菜さん?」
「ギャッ!」
―バンッ
「心菜さん?! 大丈夫ですか?!」
突然かけられた声に、驚き叫んでしまった。
その叫び声に、お風呂場の扉が勢いよく開いた。
一瞬固まる私達。
でも、すぐにさっきとは違う叫びを出した。
「あっ……すみません」
―バンッ
また勢いよく閉まった扉。
“バンッ”と音の響きだけが残った。
見られた?
見られたよね?
湯船に浸かってる自分自身の体を見下ろした。
そして、透明なお湯に文句が出る。
「何で……入浴剤入ってないのよ?!」