【完】プリンセス
「川合? 何……鍵睨んでんの?」
鍵から視線を移すと、不振な顔で見つめてる林。
「ってあれ? 授業は?」
「もう、終わったけど? ……どうかした?」
呆れてた林は、俺の慌てぶりに笑ってた。
気付いた時には、国語の先生の姿はなく、黒板にさっきの授業の内容だけが残っていた。
「川合って見た目とのギャップおもしれー」
笑って去って行く林に、一言文句を言ってやろうって思って振り返ったら……。
愛未さんが、後のドアでこちらを見ながら手を振ってた。
え? 俺? 何で?
「愛未ちゃーん」
って林?!
愛未さんのところへ犬の様に走り出した林。
それを見て幸せそうに微笑んでる愛未さん。
それを見て気付いた。
あぁ……こいつら上手くいったんだ、と。