【完】プリンセス
第十二話☆陽呂
「心ちゃん」
「あ……壱、すぐ行く!」
昼休み。
俺が作った弁当を、まだ食べ終わってないのに、そそくさと蓋を閉め、柏原と去って行く心菜。
最近、毎日コレ。
何だよ……。
こんな残すんじゃ、学食でいいじゃん。と思いながら2人の並ぶ背中を見送る。
生徒会の用事とか言ってるけどさ?
休み時間もだし、昼休みもだし、放課後もだよ?
多くね?
文化祭や体育祭の前でもこんな忙しくなかったくせにさ。
絶対何かある。
そう確信した。
でも、どーして確認するか……コレが問題だ。
愛未さんは、心菜に筒抜けだろ?
林……も怪しい。
おっ!
沙耶が居るじゃん♪
まだ中身の残る弁当を2つ袋に入れて、沙耶のクラスに向かった。
「沙耶ー」
「あ……陽呂君」
一斉に振り返る生徒に、後ずさりをしてしまった。
……また注目されてる?
さすがに後輩のクラスでは、ヤバかった?
「ごめん……沙耶、何か注目された」
「いいよー、私は大丈夫なの」
大丈夫……って、沙耶は何者だ?
ヤ○キーなのか?!
俺の顔を、怪しげな顔で覗き込んだ。
「今、変な想像しなかった?」
「へ? 別にぃー」