【完】プリンセス



「来いっつってんのが聞こえねーのかよ」




……こんなキレるつもりはなかったけど。
怒りで頭がおかしくなりそうだった。



俯いて表情も見えない。わからない。
だから、こっちに来て、顔を見せて欲しい。


なのに、その場で顔をあげて、今にも泣きそうだ。

でも……んなもん構ってられるか。


「おい……川合……そこまで」


仲裁に入ろうとした、柏原が俺の肩を掴む。
その手を『うっさい、触んな』と払い退け、心菜を引っ張った。



「心菜に手出してみろ……お前の顔の原型なくしてやるからな」



そのまま、生徒会室から出た俺は家へと向かった。
無言の俺の手に引かれた心菜は、凄く大人しく素直についてきたんだ。







「若いねぇ」

その後、笑う柏原の声など届かなかった。

柏原は、2人の中々上手く行かない恋路を楽しんでいたらしい。




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