【完】プリンセス
荒っぽく鍵を開け、入った玄関。
鍵を床に投げ捨てた。
そして……
そのまま、壁に心菜を押し付け無理矢理キスした。
「……ひ…ろ……んん」
苦しそうな声なんて関係ない。聞こえない。
苦しそうな表情なんて関係ない。見えない。
けど……半ベソの顔を見て、冷静さを取り戻した。
腕を伸ばし離れた俺は『ごめん……』とだけ言って部屋に入った。
あぁ……何してんだよ、俺?
ビビらして?
キスして?
ごめん……とか。
はぁー……。
部屋の扉を閉め、そのまま座り込む。
頭を抱え、大きな溜息と共に、うな垂れた。