【完】プリンセス
思わず、走り寄った。
柏原は顔をあげ、俺に気付くなり、
「お前、最低だな。彼氏も護衛も失格なんじゃね?」
冷たい一言を投げかけてきた。
その場に止まる事しか出来なかった俺。
その肩を抱く、柏原の手を払い除けて引き寄せる事も出来ない。
「何が……あったんだよ?」
声が震えたのがわかった。
俯いたまま泣き続ける心菜……お前に聞いてんだよ?
でも……答えたのは柏原だった。
「お前のファンにやられたんだよ。
脅迫状もそいつ達だった。
俺が気づかなかったら今頃……ヤラれてたぞ?」
その言葉に全く動けなくなった。
そんな俺の横を通り過ぎ、生徒会室の鍵を開け入って行った2人。
追いかけられない。
追いかける資格なんかない。
俺は……心菜を助けれなかったんだ。