【完】プリンセス
「江田さんですよね?」
そう声をかけられた。
逆光で、顔がハッキリ見えない。
「そうだけど?」
「陽呂の元カノなんですけど……ちょっと話があって」
その言葉を聞き、立ち上がった私が見た、明らかにオドオドした女の子達。
でも……
陽呂の話。
聞きたかった。
嘘かもしれない。
でも……本当だったら。
陽呂と、どんな風に付き合ってたのか……どこまでしたのか。
こだわりすぎなのかもしれない。
知らなくて良い事まで首を突っ込んでるんだと思う。
でも……私は、こんなだから。
ちょっとでも陽呂が、どんな子がタイプで……。
どんな風なのがいいのか……知りたかったの。
少しでも陽呂に近づける様に。
少しでも好きって思ってもらえる様に。
私も努力したかった。
でも、それが失敗だった。