【完】プリンセス
有り得ない……。
真っ暗だし……。
無理。
絶対無理。
這いつくばって、隅の方に行った。
冷たいコンクリートに触れると、三角座りをしうずくまった。
目を瞑っても開けても、真っ暗。
光がない。
闇しかない。
こわい、こわい、こわい……。
頭の中で、言い続けるセリフ。
恐怖は、あっという間に涙に変わった。
冷たいコンクリートだけが、小さな安心をくれた。
ここが端だよ。そんなちっぽけな安心。
でも、今の私には、真ん中に放置されるより、ずっとマシ。
この端に居る事で、こんな事で。
陽呂……
助けて……
恐い……
恐いよぅー……
どれ位経ったんだろう?
多分、そんなに長い時間じゃなかったはず。
だけど、私には何十時間、何日ってなくらい長い長い暗闇だった気がする。
ドンッと勢い欲よく開いたドア。
その音に驚き、また涙が零れた。
でも、光。
光が差し込んで来たんだ。
そして、そこに居たのは、壱だった。