【完】プリンセス
「え? ……陽呂?」
まだ、目が慣れてなくてちゃんと見えない。
電気のスィッチまでも後少し距離が足りないから、どうする事も出来ない。
抱きしめてるのは……陽呂だよね?!
「良かった……帰って来てくれて」
あまりの弱弱しい陽呂の声に驚いた。
こんな……声聞いた事ないよ?
でも、そんなのを見せない様に明るく普通に。
いつも通りの私で、答えた。
「そりゃ、帰って来るでしょ?
私達の家だし」
そう、笑って言ったのに……。
いつもみたいに……言ったのに。
「俺達の家なの?」
そんな返事が返ってくるなんて思ってもみなくて、少し言葉に詰まった。
「……は? でしょう? 違うの?」
小さく首を振ったのがわかる。
「陽呂……どうしたの?」
また首を振る陽呂。
「さっきのなら……」
「聞いた……全部」
そっか。
良かった。
じゃあ、誤解も解けてるよね?