【完】プリンセス
「は? 何、勝手に入って……」
「残念。ここは、俺の家でもあるんですー」
部屋に入った俺を、目を見開いて驚く。
嫌味っぽく言う俺に、また冷たい視線。
そんなの気にしてらんねーし。
今日だけは、気にしてられねーの。
だって、今日は……大切な日。
だからケンカとかしてる場合じゃねーっつうの。
背中を向ける心菜に話しかけた。
「何でキス位で、怒ってんの?」
「変態だから」
まぁ、見事に言い切ってくれちゃって。
「好きな女にキスしたら変態かよ」
「……こんな時だけセコイ」
セコかろうが、ウザがろうが気にしてられるかよ。
本心なんだから仕方ねーじゃん。
「こっち向けよなー?」
「変態の顔なんて見たくない」
ほーう。
そこまで“変態”呼ばわりされて、俺が我慢出来るとでも?
「お前ねぇ~さっきから変態変態って何気に傷付くんだけど?」
「勝手に傷付いて」