【完】プリンセス
「心菜?」
すげー不安になって、俺よりはるかに低い心菜を覗き込んだ。
ドキドキを高鳴る心臓を押さえつけて。
もし……嫌なんだったらどうしよう。なんて不安を頭の隅の隅に追いやって。
「ぶはっ!すげー泣いてるしっ」
覗き込んだ心菜の顔は、もう大洪水。
「だってぇー……」
「さっきから、だってばっかじゃん?」
「だってぇ~」
今度は俺が、心菜を胸に引き寄せた。
堪らなく愛しくて。
俺が悩んでたのは、何だったんだろうって。
「泣きたい時と泣く時は、どんな時でも俺の胸だけな?わかった?」
「……うん」
どさくさにまぎれて言ってみた言葉は、本心。
俺の胸で抱かれる心菜は小さくて。
もっと守ってやりたくなる。
俺も心菜が胸に居ると、すげー安心する。
だから……プロポーズもした。
親が決めただけじゃなくて。
俺がそばに居て欲しいから。
そばに居たいから……。
誰にもやりたくない。
だから……。
一生そばにいてくれよな、心菜?