【完】プリンセス
「あっ!」
「ふぇ?」
今日、何度目になるんだ? ってな位の同じ光景。
少し熱くなった顔。
でも……聞かなきゃ、な?
「で……返事は?」
「あっ忘れてた」
笑って答えた心菜に、『おい!』っておもっきり突っ込んだ。
忘れてたって……。
俺の勇気と、頑張りが。
男心も分かってくれよな?
「陽呂?」
「んぁ?」
拗ねた俺を真っ直ぐ見つめる。
そんな心菜の瞳は綺麗で……急に恥ずかしくなった。
「陽呂……まだ何も言ってないんだけど、顔赤くない?」
「うっせーよ」
立場逆転。
ろうそくの光で、そう見えるだけだ。なんて苦しい言い訳に笑ってるし。