【完】プリンセス
バンッと大きな音をたて、慌ててかおりの部屋のドアを開けた。
勿論、驚いた顔のかおりと沙耶ちゃん。
そんな、かおりに目をやり問いかけた。
『かおり……川合の事は、まだ好きなのか?』
キョトンとした目で俺を見る。
そして、ぱぁ~っと明るくなった顔に、やっぱり川合かっ! と怒りの心境。
『川合って、陽呂君?
陽呂君、心菜さんと上手くいったんだってねー』
『へ?』
間の抜けた俺の声なんて無視され……。
『私の憧れだもん♪ 良かったよねー』
隣に居た沙耶ちゃんと笑い合ってる。
『で、お兄ちゃん? 何? 好きって?』
『え? かおり……川合に告白したよな?』
『あーあんな昔の事? 今は、多田君だよー!』
焦る俺を無視して、どんどん話を進めていく。
てか、多田?
多田って誰だ?!