【完】プリンセス


「俺は、心菜と結婚した後より、結婚したいと思った理由が今は知りたいんだけど?」


そう言われて……ちょっと悩んだ。

笑われないかな……?
いや、笑うな。


でも……今だから勢いで言っちゃえっ!
顔も見えないし、ね?



「私は……夢だったの」

「夢?」

「小さい頃から……陽呂のお嫁さんになるのが」


言った後に後悔。
恥ずかしいし、馬鹿みたいだし。


何も言わず無言。
もしかして笑うの堪えてる?


「もー笑いたいならハッキリ笑えばい……い…え?」


顔だけ振り返りながら言う私が見たのは、真っ赤な陽呂の顔。


「バカ、前向け前……」


『はい』って素直に前を向いて俯いた。

だってまさか……あんな顔してるなんて思わなかったんだもん。



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