【完】プリンセス

「あー! 陽呂、まだ寝てなきゃ駄目でしょ?」


キッチンから怒る声。


「いや……トイレ」

「あートイレ? 終わったらスグ、お布団ね?」


はいはい。
トイレ位、行かしてくれっちゅうの。


何だか……母親みたいだな。
と少し零れた笑みを隠してトイレに向かった。



トイレから出た俺が、素直に部屋に戻る訳もなく……。


キッチンを覗いた。
鼻歌を歌いながら、お粥を混ぜてるし。


……可愛い。


俺、熱でやられたのか?
心菜が何してても可愛く見える。


そんな心菜に後から、そーっと近寄ったら


「陽呂~? 寝てなさいって言ったよねぇ?」

「……はい」


おたまを持って振り返る心菜が恐くて、泣く泣く部屋へと戻った。




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