【完】プリンセス
「新郎様、どうぞ」
「え? あ……はい」
控え室の扉の前で待ってた俺に声がかかった。
そっか、
俺、新郎だったんだ。
心菜が似合うっていう、ロングタキシードに着替え、心菜の控え室に案内された。
扉を開けて貰い、俺が目にしたのは……
純白のドレスに身を包んだ心菜の姿だった。
ただ……綺麗。
としか言い様がない。
真っ白で何の汚れもない。
この事を言うのか?
呆然と立ち尽くしたままの俺に、
「陽呂ー? 何かないの? 綺麗とか、可愛いとかさ?」
少し拗ねた表情で俺を睨んでた。