【完】プリンセス
「新郎様、見惚れてたんですよねぇ、花嫁様が、あまりにも、お綺麗だから」
クスクス笑いながらフォローしてくれるおばちゃん……恥ずかしいけど、その通りだ。
「え? 本当に?」
少し赤らめた顔で、俺を見つめる心菜に、目を逸らして頷く。
チラッとみては、下を向いて顔を隠してしまう。
「あらあら、可愛らしいお二人だこと♪」
隣でクスクス笑う声が聞こえる。
おばちゃん、そこの追い討ちは、いらねー……。
「さ、ご準備に取り掛かりましょう? そろそろお時間ですから」
おばちゃんの声で、部屋を出た。
扉が閉まったと同時に、隣の壁に背中を預けて、ズルズルとその場に座り込んだ。
まじで……綺麗なんだけど?
ヤベ……。
顔、絶対赤いっ!
これ式までに戻んのかよ?
良かったぁ、先に心菜見といて。
あのまま、本番で見てたら絶対真っ赤で……
いい笑われ者だったな。