【完】プリンセス


後から聞こえた物音。



振り返ったら、俺の部屋のドアの真横で座ってる心菜。


は……。

思わず零れた笑み。

こんなとこ、気づかねーなんて……俺、相当焦ってたな。



前に同じ様にしゃがんで、三角座りして顔を隠してる心菜に話しかけた。


「ごめんな?」


優しく頭を撫でた俺に、少しの隙間から、


「意地悪……」


って……。



あーっ!

まじで可愛過ぎるから!

だから苛めたくなるんだって。



そのまま、心菜の腕を掴み、俺の部屋へと連れ込んだ。

まさか、俺の次に出る行動が、こんな事だとも思ってなかっただろう心菜は、アッサリと着いて来た。



部屋に入って電気を消した俺に戸惑いを隠せない様子をみせた。


「心菜が……可愛いから悪い」

「へ? 陽呂……意味わかんない。私怒ってんだけど……んん…」


心菜の動く口を俺の唇で塞いだ。


そのまま大人しくなったと思ったら、俺の背中に回る手。


驚き、心菜の両腕を持ち引き離した。


「陽呂?」

「え? あ、いや……俺…だせぇ」


暗い部屋に照らされる月明かり。

心菜がにっこり微笑み俺を見てるのが、わかった。

< 385 / 392 >

この作品をシェア

pagetop