【完】プリンセス
後から聞こえた物音。
振り返ったら、俺の部屋のドアの真横で座ってる心菜。
は……。
思わず零れた笑み。
こんなとこ、気づかねーなんて……俺、相当焦ってたな。
前に同じ様にしゃがんで、三角座りして顔を隠してる心菜に話しかけた。
「ごめんな?」
優しく頭を撫でた俺に、少しの隙間から、
「意地悪……」
って……。
あーっ!
まじで可愛過ぎるから!
だから苛めたくなるんだって。
そのまま、心菜の腕を掴み、俺の部屋へと連れ込んだ。
まさか、俺の次に出る行動が、こんな事だとも思ってなかっただろう心菜は、アッサリと着いて来た。
部屋に入って電気を消した俺に戸惑いを隠せない様子をみせた。
「心菜が……可愛いから悪い」
「へ? 陽呂……意味わかんない。私怒ってんだけど……んん…」
心菜の動く口を俺の唇で塞いだ。
そのまま大人しくなったと思ったら、俺の背中に回る手。
驚き、心菜の両腕を持ち引き離した。
「陽呂?」
「え? あ、いや……俺…だせぇ」
暗い部屋に照らされる月明かり。
心菜がにっこり微笑み俺を見てるのが、わかった。