【完】プリンセス
怒る心菜を気にしながら、服を着て部屋を出た。
てかさ?
昨日は、あんな可愛かったのに……
起きたら『大嫌い』って。
酷くね?
『大嫌い』は酷いよな?
少しづつ、怒りが出て来た。
さっきまでは、俺が悪かった?
なんて思ってたけど撤回!
リビングには、さっき俺に『大嫌い』って言った張本人。
でも……そんな俺のちょっとの怒りはすぐ消えた。
「さっき……ごめん」
心菜が謝った!
ってのもあるけどさ?
テーブルの上には、潰れた目玉焼きと、ちょっと焦げた食パン。
「これ……」
「何よ? ちょっと失敗したけど……文句あるなら食べなくてもいいから……ね?!」
偉そうに言ってる割には、最後の方は弱気。
そんな心菜が作ってくれた物を食べない事あった?
本当、わかってないよなぁー心菜。
キッチンに戻った心菜を後から抱きしめて
「一緒に食べよっか♪」
首に回った俺の手を両手で掴みながら、
「……うん」
なんて可愛く笑う。
意地っ張りで強がりで毒舌だけど、このたまに素直で可愛いところに、俺は弱いんだけど?
これから毎日、こんな生活が続くのも悪くないな。
てか……幸せだしっ!
【完】