【完】プリンセス
「ごめーん、かおりと話してたら、川合君の事、陽呂君って呼ぶからさ? 移っちゃってた」
あぁ……なるほどね。
俺が聞く前に答えた杉下沙耶。
「いーよ、陽呂で」
「あっ本当に? じゃあ、陽呂君って呼ばして貰うね♪
私も沙耶でいいから。苗字で呼ばれるの嫌いなんだ」
堅苦しいでしょ? って笑った沙耶は、話しやすい奴だった。
沙耶と話してたお陰で時間は、あっと言う間に過ぎ、
「陽呂?」
靴箱にもたれ、しゃがんでた俺達は、揃って顔をあげた。
「あ、心菜さん、終わったんですか?」
「あ……うん」