【完】プリンセス
「あれ? 心菜さん?」
溜息をついて廊下を歩く私に、甘えたくなってしまいそうな優しい声。
「陽呂……」
「どうかしました?」
心配そうに私の顔を覗き込んだ。
陽呂……
「それが……」
顔を上げて陽呂を見た瞬間、陽呂の後に少し心配そうな顔をした杉下さんが居た。
それを見て、今自分が言おうとしてた言葉を飲み込んだ。
「心菜さん?」
「あ……何でもない。邪魔して……ごめんね?」
まだ、話しかける陽呂を無視して、一番近い階段を駆け上がった。
はぁー……
やっぱり、仲良いんだ。
杉下さんと。
駄目駄目っ!
こんな事ばっかり考えてるから、ミスしちゃったんじゃない!
今は、生徒会の事だけにしなくちゃ!
陽呂に甘えちゃ駄目!