【完】プリンセス
その後は、本当に必死だった。
放心状態の私の手を引いて、陽呂が一クラスずつ頭を下げてくれて。
気づいたら、私も一緒になって頼んでた。
陽呂は、強がりな私をわかってくれてる。
そして、その強がりな部分を知らない間に消してくれるんだ。
気づいたら陽呂のペース。
もし、途中で私がソレに気づいても、陽呂は、絶対崩さない。
恥ずかしがって逆に強がる私も、包んでくれる。
最終的には、自分が悪くもないのに、悪者にまでなってくれる。
そんな陽呂に甘えてるだけなのかもしれない。
だけど、そんな陽呂が好きなの。
ここまで、私を理解してくれてる陽呂だけど、私の心の気持ちだけは、絶対理解してくれない。
どうしてかな。
こんなに、ずっと好きで。
こんなに、ずっと側に居て。
こんなに、心で想ってるのに。
やっぱり、言葉は大切だよね。
気持ちは、言葉にしなきゃ……駄目なんだね。
でもね?
出来ない。
私には、出来ない。
勇気がない。
強がりで口が悪くて……意気地なし。
ねぇ、陽呂。
何でも解る陽呂でも私が、意気地なしって事は、知らないでしょ?