【完】プリンセス

その後は、本当に必死だった。


放心状態の私の手を引いて、陽呂が一クラスずつ頭を下げてくれて。

気づいたら、私も一緒になって頼んでた。



陽呂は、強がりな私をわかってくれてる。

そして、その強がりな部分を知らない間に消してくれるんだ。



気づいたら陽呂のペース。


もし、途中で私がソレに気づいても、陽呂は、絶対崩さない。

恥ずかしがって逆に強がる私も、包んでくれる。



最終的には、自分が悪くもないのに、悪者にまでなってくれる。




そんな陽呂に甘えてるだけなのかもしれない。

だけど、そんな陽呂が好きなの。




ここまで、私を理解してくれてる陽呂だけど、私の心の気持ちだけは、絶対理解してくれない。

どうしてかな。

こんなに、ずっと好きで。

こんなに、ずっと側に居て。

こんなに、心で想ってるのに。



やっぱり、言葉は大切だよね。

気持ちは、言葉にしなきゃ……駄目なんだね。




でもね?


出来ない。


私には、出来ない。


勇気がない。


強がりで口が悪くて……意気地なし。



ねぇ、陽呂。

何でも解る陽呂でも私が、意気地なしって事は、知らないでしょ?




< 69 / 392 >

この作品をシェア

pagetop