【完】プリンセス
「心ちゃん、どーしたの? 元気なーい!」
体育祭も終わり、文化祭が始まっていた2日目。
愛未と私はクラスの出し物の準備をしていた。
「え? そう?」
「うんっいつもの毒舌っぷりが、今日はない!」
おいおい。
そこが私の元気の基準かい?
いつも、どれだけ酷いのよ、私……。
そんな事を言われたのに、私の反応がいつもと違ったのか、心配そうな顔をした愛未に手を引かれ、準備を抜け出した。
自販機でジュースを買ってから、中庭に出た。
隠し切れず……と言うか、私が一人で抱え込めなくなった……。
だから、全てを聞いて欲しかったんだと思う。
全部話し終える前に、愛未が声を大きくして驚いた。
「え? 婚約解消?」
静かに頷いた。
「いっちぃーにも、ビビったけど……」
いつから、そんな仲だったのよーなんて茶化す愛未。
だけど……
「陽呂君の中では、いっちぃーと、心ちゃんが両想いになっちゃってるし」
そう。
そうなの。
何で……そうなってるんだろ?