こうして僕らは、夢を見る
「俺等も待ってたんだけどね〜。な?るーくん。」
「うん。」
「蕾さんも忙しいからな。だが連絡がないのは楓が心配する。」
「は、はあ?なんで俺なんだよ!し、心配とかしねえし!」
各々が会話する。
だけどそれは更に私の頭を悩ますだけで話に付いていけない。
首を傾げて困り果てる私に司くんは言う。ずっと私に言いたかった本題を。訳が解らず私を悩ませている正答を教えてくれた。
「一週間来なかったですよね。」
え‥‥‥‥?
そう告げた司くんに僅かに目を見開いた。
「待ってたんですよ、蕾さんのこと。」
フッと笑みを浮かべた横顔はどこか寂しげ。理由が分かったというのに司くんの、その言葉も表情を私を更に悩ませる種となる。
店から漏れる灯りが私達を照らす。どうせなら心も照らして欲しいと思った。私の心は混乱の渦に陥っている。訳が解らない事だらけで目眩が私を襲う。
なんで‥‥‥
なんで‥‥‥?
待ってたって―――――――――――――わたしを?
「普段はあのストテニは遣わねえんだよ。お前のために行っていただけだ。」
ぶっきら棒に翼がポケットに手を突っ込みながら言う。
「なのに来ねーし。」
ため息をつきたくなるぐらいのあきれた声。
ちょっと待ってよ。ねえ、翼。自分が何言ってるのか把握してる?使わない?あのテニスコートを?
わたしが行った日居たじゃない。偶々でしょ?だって私はあの日、行くかも分からなかったんだよ?本当に気紛れだった。不意に行く気が芽生えたから行っただけ。
それに―――――――待ってた?いつから?この一週間ずっと?私がテニスコートに来なかったから店に来たの?わざわざ?私なんかのために来たの?
―――‥‥何なんだよ、アンタ達。
ほんと、アンタ等なに。
私なんかどうでも良いじゃん。
たまたま会っただけだし。数回しか会ったことないし。そりゃあ話してると楽しいかったよ。だけど待つ必要なんてある?答は無い。
無いのに、なんで待ってんのさ。
あ――‥‥もう。
お姉さんはセンチメンタルだ。
「な、んで」
――――――振り絞って出した声はあまりにも情けない声だった。