こうして僕らは、夢を見る
「‥‥‥迷惑、かなって。」
迷惑だと思った。
この前はバイトのついでに寄って見た。今週も連勤だったからまたバイトの次いでに寄ることだって可能だった。だけど私はそれをしなかった。関係のない私なんかが邪魔しちゃ駄目だと思ったから。
私なりの気遣いのつもり。
君たちからすればお節介な気遣いだったみたいだけと。
「‥‥‥次元違うし。」
立っている土台が違うと思った。
一般人のOLと売れっ子アイドルの秘密の恋愛物語があるとしよう。その恋ではよく"世界が違う"とか遣われる。それは立っている世界が違うから。本当にそんな感じ。君たちが神様だとすれば私は地に平伏す石コロ同然。
天地の差がある。
「私に君たちは無関係だから。」
無関係な私たち。
会う理由さえ見つけるのに一苦労な関係。アンバランスなんだよ。目映い君たちと褪せたワタシは似ても似つかない。結び付かない。たまたま出逢っただけの名も無い関係。未完成の楽譜を見て最後まで弾けくのは無理でしょ?正に、そんな感じだ。わたし達の関係も未完成なままだから悩まされる。中途半端な関係に戸惑ってしまう。
「私にとって君たちは遠い存在だよ。」
遠い、遠いよ。
年齢とか性別とか関係なく、ただ遠い。目映い君たちは私にとってただ純粋に目の毒だと思ったの。明るすぎる。輝きしすぎる。ただ―――――――羨ましい。
好きなことに打ち込む君たちが羨ましいと思った。妬んでるわけじゃないよ?ただ羨ましい。わたしが輝けなかった時代に、君たちは輝きを放っている。それが眩しくて仕方ない。
嫌でも思い出す。
あまり夏は好きじゃない。
バックを投げ出した瞬間。靴ヒモが切れる瞬間。意識が途切れる瞬間。走馬灯に陥った瞬間。最後に見た青―――――‥‥‥
全てが夏に始まり夏に終った。
そして夏に君たちと出会った。
何かの因縁のよう。皮肉な夏。
夏は好きじゃない。だけど‥‥‥‥‥嫌いでもない。
「会えなかったわけじゃない―――――会わなかっただけ。」
迷惑だと思った。見る世界が違うと思った。君たちに私は関係無いと思った。君たちが遠い存在だと思った。だから、会わなかった。会えなかった訳じゃない。故意的に会わなかっただけ。
わたしは俯いてポツポツと呟いてるから彼らがどんな表情をしているのか私には分からない。
解りたくもない。少し怖いから。彼等の事を考えているようだけど結局は自分の事しか考えていない。