こうして僕らは、夢を見る
雨なのに来ない私を待っててくれたの?―――――何だかモヤモヤが一気に吹っ飛んだ。晴れ晴れと澄み渡る。フワフワと心が軽くなる。ポカポカと温かくなった。
同時に要らないことを考えている私が馬鹿らしくなった。難しく考えなくても良かった。ただ行けば良かった。「会いたい」なら行けば良い。「会いたい」が理由になる。深読みし過ぎた私が馬鹿らしい。雨なのに待って居てくれた彼等に申し訳ない。わたしの思考は本当に下らない。
――――――すると突然数回肩を叩かれた。
振り向くと涙君が居た。どうやら私の肩を叩いたのは涙君らしい。いまはもう目が覚めたのか瞳がトロンとしていない。それどころか真剣な瞳で私を見つめている。
私も見つめ返すように見上げる。背が高い。180cm前後かな?他の皆もそれ位だ。154cmの私とは凄い差がある。見上げていると首が痛い。吊りそうになる。
「‥‥‥涙君?」
「‥‥‥違う、から。」
「え?」
「‥‥‥迷惑じゃ、ない。」
私が皆の迷惑になるという呟きに対して否定した涙君。その瞳は、かなり真剣。その瞳に吸い込まれるようにコクンと頷けばホッ、と安心したかのように強ばっていた顔が和らいだ。
「おね〜さんが俺らに歩み寄ったときにミネストローネ作って貰うわ〜。」
ひょこっと涙君の後ろから顔を出した籃君。相変わらずヘラヘラと笑っている。Yシャツのボタンがかなり際どいところまで外されている。ちゃんと締めなさい。
だけど籃君の言葉に司くんの言葉の意味が漸く分かった。私が壁を作っているから私の家に行かないと言ったんだ。
「うん。またおいで。」
「え、マジ?なら、そんときはカメラ持って行こうっと。いろいろフィルムに収めねえとな。」
「やっぱ来んな。」
なに撮るつもりだよお前。籃君はブラックリスト入り確定。万が一来ても寝室には絶対入れない。縫い包みがいっぱいだし。意外と乙女チックな趣味がバレてしまう。