こうして僕らは、夢を見る






「彼奴等の執着心は強いからな。諦めたほうがいい。」





突如、後ろに回り込むと私にだけ聞こえるように耳元で囁く朔君。






「蕾さんは自分が思っているよりも気に入られてる。」

「―――‥‥う、ん。」





信じがたいが。


曖昧ながらも頷いた。





「これから‥‥」

「え?」

「少しずつ心を開いてくれると嬉しいんだがな。」





フッ―――‥‥‥と笑った朔君。今すぐにでも開けそうになった。しかし訂正箇所がある。司くんも籃君も朔君も、私を警戒心が強いみたいに言うけど違う。




ただ素直になれないだけだ。迷惑なのも自分が邪魔者だと言うのも素直になれないだけ。本当はテニスコートだって行こうと思えば行けた。だけど、私がマイナスのことばかり考えてしまう癖のある性格をしているから行けなかった。自分の気持ちに正直になれない。




だから、





「‥‥‥‥‥ごめんね。」





少しだけ、素直になって見た。


この『ごめん』の一言には色んな意味が込められている。


俯いたまま謝った。羞恥ではなく申し訳ない気持ちが一杯で。


幸い帽子の鍔に隠れてるため私の顔は見えない。
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