こうして僕らは、夢を見る
繁華街の一角に佇む【ROUGE】



昼は人気が薄い店も夜に為れば暗闇を照らす。男は傲慢な態度で金を唸らし自慢気に語る。女は綺麗な服飾品を身に纏い笑顔を張り付ける。



【ROUGE】



それは憩いの場でもあり愚弄の場でもある舞台―――――夜な夜な女は紅いルージュを付け、今日も磨かれたガラスの靴を履く。














* * *




【ROUGEの裏側】




鏡やメイク道具が置かれた部屋には数えられるぐらいの女の子たちが。みんな綺麗に着飾り談笑中。ひとときの安らぎとはこの事。



わたしは鏡の前で机に肩肘を付きながら鼻歌交じりにiPodから流れる曲を聴いている。



机には食べ掛けのお菓子やメイク道具やコテが雑に置かれている。正しく古典的なO型。片付けられない女なワタシは音楽に夢中。





「ふふふ〜ん」





気分は最高潮。ノリノリだよ。耳に付けたイヤホンから流れるのは流行り男性アイドルグループの曲。かなりの美声だ。


ヤバーい!やばすぎクンだよ!この最新シングル超良すぎ!さすがオリコンチャート1位なだけある!暇な日あればライブとか行けるのにな。生であの美声を聞きたい。私だって女の子なの。





「ふふ〜ん、ららら〜!―――――――った!」





何かで頭を殴られ痛みに悶える。


ちょ、おい!セット終わったばかりなんですけど!?見えない!?このクルクルのお姫様ヘアーが!汚れた床を拭いていた女の子がお姫様になっているという姿を!


文句を言おうと耳からイヤホンを取ると隣に座る子を見る。





「さっきから煩い!」

「ご、ごめんなさい。」





こ、怖‥‥‥‥!




文句を言おうとしたが女の子が怖すぎて素直に謝った。光線を放つ瞳が怖い。目力強すぎだから。つり目が更につり上がって私を睨んでいる。





「蕾は歌わないで。音痴なんだから。気が散るの。分かった?」

「う、うん。ごめんね?桜子」

「全くだわ。」





怒っているのは桜子(さくらこ)



同じく【ROUGE】で働くお友達的存在。



キツめの性格で切れ長の瞳が印象的な桜子。知的な風貌が売りだ。日本風な黒髪。スラッと長い手足。166cmくらい身長はある。和の象徴のような子。



エメラルドグリーンのドレスが更に桜子の綺麗さを強める。露出も少なく僅かに見せる肌。桜子の為にあるドレスかのようだ。



厳格な美しさを放つ桜子はROUGEのNo.1ホステス。源氏名は美櫻。ROUGEの揺るがない女帝だ。
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