こうして僕らは、夢を見る
だいたい嫌に決まってるじゃん、桜子のバーカ。



あれっきりでいい。あの日の約束通り翔が本当に来てくれたのは嬉しかった。でも、もう呼ばない。あれは喧しすぎるよ。



お友達も負けず劣らずで喧しい。正しく類は友を呼ぶってやつだ。ここ(ROUGE)はアンタ等の店じゃないと叫びたくなったし。



本当に凄い滅茶苦茶だった。



他のお客さん達を巻き込んで騒ぐ騒ぐ。楽しかったから良しとするけど。でもあれは確実に営業妨害並みの騒ぎだ。チーフも楽しそうだったから良かったみたいだけどもう二度とあの騒ぎは御免。






翔は好きだけど騒がれるのは嫌。ほどほどに、ね?



そういえば今日のバイトで翔が昼御飯奢ってくれたっけ。隣の店のピザ。美味しかったなあ。



毎日がファーストフード店のバイトだけなら楽しいのに。着飾るのも性似合わない。






「―――――ふぅ」





一息付くと背凭れに体重を掛けながら鏡に映る自分を見る。




目元、眉、頬、唇、全てが綺麗に仕上がっている。どこか薄ピンクとオレンジ色が際立つ。髪は綺麗に緩く巻かれている。



服は純白の背中がパックリ空いたドレス。綺麗な宝石が純白に散らばっている。メイク・服・髪型からなのかお姫様になった気分。



今だけだけど。あともう少しすれば泥沼のお姫様と化する。お姫様は仮面を被ったりしない。澄んだ心を持つのが本物のプリンセス。計算高いお姫様は居ないよ。



メイク道具のお陰で小綺麗な身なりに大変貌を遂げたワタシ。






―――‥‥やっぱり何か落ち着かない。



やっぱり慣れない。
いつまで経っても慣れない。



やっぱり夜は苦手。昼が一番好きかな?あと最近では夕方も好き。





「あー。ヤバい。満腹。」





最近の夕方は充実している。



窮屈なお腹を擦り、溜め息をつく。かなり食べ過ぎた。後先考えずにガンガン頼んじゃった。





「食べてきたの?」

「司くん達とね。」





今日は司くん率いるテニス少年達とファミレスに行ってきた。ついさっきまで一緒にご飯を食べていたところ。



――‥‥‥今日"は"と言うよりも今日"も"かな。



昨日は部活が休みだったらしくアイスを食べに行った。その前の日はテニスコートで打ち合っている彼等を観戦。



司くん達とは頻繁に会っている。翔が店に来た日はバイト先に彼等が来た日。あの日からそれはもう毎日のように司くん達とは顔を合わしていた。
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