こうして僕らは、夢を見る
「アンタがスポーツしてる子達と関わってるなんて意外だわ。」
ふと、苦笑い気味にそんなコトを言われた。
桜子は高校の同級生。普通科で始めて出来た友達だ。事情を知っている桜子には、それなりに色々と世話になってきた。
それに私は自分から誰かと関わろうとはしない。ずぼらだから人間関係も面倒臭い。信用できる人が数人居ればそれでいい。交遊関係の浅さは桜子の御墨付き。
「まあ、ね。」
曖昧に頷く。そんなに意外?
――‥だよね。普通は意外だよね。私自身も吃驚してる。スポーツをしている子達と関わるなんて。高校時代あれほど恨めしそうにグランドを見つめていた奴がスポーツしてる子達と和気藹々とご飯食べてるんだもん。吃驚だよ。
「良い刺激じゃない、イケメン君たちは。」
「それ翔にも言われた。」
「嘘!?やだっ、翔君と以心伝心しちゃった!」
「翔のコト好きなの?」
「イケメンは大好物よ。だけど私が愛しているのは笹室先生だけ。オホホホホ。」
口元に手を当てて上品に笑った。笹室先生って―――――――確か高校の教師。高校時代の三年間ずっと桜子が片思いしていた相手。
え、まだ好きなの?
驚いて桜子を見るが私の視線には惚けながら笑うだけ。本気か冗談か分からない。
何だかな――…こう見ると私達も成長しているんだと実感する。ピーターパンのように子供のままでは居られないんだと。
もし私がピーターパンなら時間はシューズを放り投げたあの日から止まっている。青から目を反らしたあの日から針は進んでいない。でもピーターパンなんてお伽噺の中だけ。夢のまた夢の噺。