こうして僕らは、夢を見る



「ただのテニスの試合だよ?」

「あら。試合観戦なんていつぶりかしら?」



来るの決定済みかよ。



わたしは試合を見に行くとか行ってないし。まず、桜子を誘った覚えすら無いんだけど。








「高校時代はマネージャーだったよね?野球部の。」

「そうよ〜。弱小野球部の女王様だったの。弱い癖に口だけ達者な奴ばっかりだったから扱(しご)いてやったわ!」

「想像付くよ。」

「どういう意味よ。」





部員達をコキ遣っている桜子の姿が優に浮かぶ。



『オーホッホッホッ!マネジャーであるワタクシに逆らうやつは球拾いに格下げよおおおおお?』



なんて言って野球部を支配してそう。



マネージャーは基本的に普通科しか成れない。その普通科である桜子は野球部のマネージャーだった。何で採用されたのかは未だ不明。絶対マネジメントに向いてないでしょ。



きっと可愛い可愛いマネジャーが欲しかった当時の野球部は洞察力が悪かった。大方、桜子の外見に騙されたんだろう。見た目は大和撫子の桜子に。蓋を開ければ女王でした〜!なんて不運すぎる。



あれから野球部はマネジャー恐怖症になってたりして。はは、







「ん〜、」





桜子の光陽高校時代はさておき。ひとまず私はメールの返信内容を考える。



私はテニスのルールを知らない。それに練習試合って事は他校の生徒も来るって事だよね?私なんかが見に行っちゃってもいいわけ?まあ部長の司くんが誘ってくれるぐらいだから大丈夫なんだろうけどさ……



――…場所が問題なんだよね



ああ、もう。どうしよう
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