こうして僕らは、夢を見る
数時間前のファミレスでの失態を悔やみながら携帯を触る。そして返信ボタンを押してメールを作成し始める。
「……」
しかし作成途中で指を止めてしまった。頭の中で重要キーワードがぐるぐるとループしている。
例えれば回転寿司のような感じ。土台となるご飯が【光陽】で寿司のネタが【キーワード】。
部活――――試合――――練習――――ソフトテニス―――――――――――――…………
想像するだけで溌剌とした青春色。だけど今の私からすれば悩ましい言語ばかり。その一番の種は…
「光陽、か。」
ボソッと呟いた声は誰にも聞かれることはなかった。
桜子も笹室先生に会えるのが楽しみなのか鼻歌交じりに髪をセットしている為、此方には目も暮れない。
練習試合は光陽高校。
う〜ん。
どうしようか。う〜ん。
私が幾ら悩んだところで練習試合の場所は光陽高校に変わりない。だけどさ?凄く近いんだよね――――――――テニス部と陸上部。
「あ――…もう、」
むしゃくしゃする。遣り切れない思いが心を掻き乱す。きっと二度と行くことはないは無いと思っていた母校。今になって光陽に脚を運ぶことに為るとはね。
「――――送信、っと」
画面には【送信完了】の文字。
彼等と出逢ってから全てがひっくり返った。考え方も過ごし方も。彼等に感化されているのは確か。
――――…彼等に出逢って止まっていた歯車が廻り始めた。
「楽しみより、不安かな。」
【楽しみにしとく】
そう書かれていた送信メール。
楽しみより、不安。不安より、緊張。だけど緊張よりも―――――――――――どこか胸を躍らせているワタシが居る。