こうして僕らは、夢を見る
とりあえず歩き始める。テニスコートの場所は不確かだけど行動に移さなきゃ始まらないし。


訝しく校舎を見つめながら桜子が不満げに話し出した。





「幾ら何でも変わりすぎでしょ。たった数年でこんなに変わるものなの?一体どこまで改築すれば気が済むのかしら。」

「う〜ん。月日が経つと見方も変わるんじゃないかな。」

「ふうん――‥‥何だか知らない高校みたいよね。」

「確かに。」





桜子の気持ちは分からなくもない。たった数年で変わり果てた母校に複雑な気分なのは私も同じ。


全体的に綺麗になったような気がする。荒く生えた雑草が抜かれて綺麗な平地になったような感じ。母校を見ると温かくなるとか言うけど、寧ろ何だか複雑。





「年取ったみたいだわ。」

「実際取ってるけどね。」





年を重ねるにつれて訪れる変化は自身だけではない。身近なものにも変化はある。学校がそれを表している。


綺麗な校舎から桜子は目を逸らすと四方山(よもやま)話を持ち掛けた。本当に然してどうでもいい世間話。





「蕾は知ってる?3年A組だった山崎さん結婚したらしいわよ?それも出来婚。」

「嘘!?あんな大人しそうな子が!?見かけ倒しの桜子よりも知的美人な山崎さんが!?」

「然り気無く失礼ね。それに何も山崎さんだけじゃないわ。先月も結婚式の招待状届いてたし」

「ほぇ〜……皆凄いね?もう家庭を持ってるんだ?」





桜子の話に驚愕だ。思わず間抜けた声が零れる。


だって私達まだ21歳だよ?未々これからじゃん。子供は可愛いけど育児疲れとかあるでしょ?女は20歳過ぎたらあっという間って言うけどね。





「私は結婚なんて考えた事もないけど。何かに囚われるくらいなら独り身の方がマシよ。自由奔放に生きたいわ」





カツカツと足音を鳴らして歩く桜子は凄い凛としていて格好良かった。いつも桜子は堂々と胸を張り何かに怯むことはない。逸れる事も。捕らわれる事もなく自分の意思を常に持っている。それが私の憧れでもあった。
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