こうして僕らは、夢を見る






「だけど司くん達将来有望じゃない。あれは良い人材よ」

「まだ言うか。大体そんな事どうでも良いよ。あっちは私に見向きもしてないし。そう言う対象じゃないから。桜子が勝手に盛り上がってるだけだよ」

「――……アンタそれ本気?」

「何が?」

「私会った事ないから解らないけど……女の勘が疼くのよ……間違いないわ……ええ……私の勘は外れない……」





なに?何かブツブツ言い始めた。とりあえず私は強引に桜子の腕を引っ張る。





「早く行こうよ」

「そうね。司くん達を惚れ直さなきゃいけないし」

「しつこい」





今日の桜子はやけにしつこい気がする。きっと噂の美形少年達に会えるのに浮かれているんだ。流石ミーハーな面食い女子。



こんな事なら話さなきゃ良かった――――――と言うよりも桜子が勝手に私の携帯を弄るからバレてしまった。警戒を怠った私のミス。まさかメールを読まれるとは思いもしなかった。





「それにしてもどっち?」





適当に歩いていると別れ路に遭遇。最悪過ぎる展開。どっちがテニスコートなのか解らないし。まず此方にテニスコートがある道筋なのかすら解らない。


母校で迷子とか笑えてくるんだけど。





「チッ。暑いし、迷うし、最悪」





確かに。滅茶苦茶暑い。この中で部活なんて凄い。絶対に焼ける。日焼け止め塗ってきて良かった!密かに安心する私とは裏腹、桜子の苛立ちはピーク寸前。



この暑さでかなり苛立っている。オマケに迷子。このダブルパンチに相当お怒りの様子。





「誰かに聞く?」

「誰によ。誰も居ないじゃない」





多方面から微かに声が聞こえてくるが人は居ない。





「どうし―――――あ」

「なに?」

「発見したよ。」





どうしようかと悩む私に救世主。指を差した先にはバスケ部らしき少年達が3人。1年生なのかな?まだ何処か初々しい。





「聞く?」

「勿論」

「だけどこれから部活っぽいよ?邪魔しちゃ悪いと――…」

「私に任せなさい」





私の言葉を悟り自信満々にそう言う。


何する気?と怪訝な面持ちで桜子を見つめる。こういうときの桜子は嫌な事を仕出かすからだ。


カッカッと桜子は足音を鳴らして3人組のバスケ少年に堂々と近付く。その貫禄はレッドカーペットを歩いているようにも感じる。
















「ねえ坊や。ちょっと、聞きたいことが有るんだけど」




―――――――――その声を聞き振り返った少年達は固まった。
< 129 / 292 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop