こうして僕らは、夢を見る
それもその筈。


目の前にはサングラスを優雅に外す物凄い美女が居たからだ。


束ねられたしなやかな黒髪に過度に露出された肌。所々赤と豹柄が目立つ。見た目だけは正にハリウッド女優宛らの美貌。


バスケ少年×3はボトッと鞄を落としている。口を半開きのまま唖然。硬直している3人に桜子は不敵に笑みを浮かべた。













「テニスコートまで、案内してくれないかしら?」




お願いと言うよりも、強要。


その言葉に何度も暗示が掛かったように頷くのは魔の手に掛かった哀れなバスケ少年達。


肯定した彼等に又もや不敵な笑みを浮かべる桜子はハリウッド映画に出てくる悪女のよう。【見掛けに騙されるな】とは此の事。







「……はあ、」



横目でウインクしてくる桜子に溜め息を付く。でも早急にテニスコートに行けるため良しとしよう。






















――――――――――――――――――――――……



「最近の若者は良い子なのね〜?ジュースまで奢って貰っちゃったわ〜!オホホホホ。」

「魔女かお前は。」

「あら。失礼ね?蕾ちゃん。世渡り上手と言って欲しいわ。」





ペプシコーラを手に上品に笑う桜子は正真正銘魔性の女だ。


こんなに性格の悪い女に引っ掛かる男がごまんと居ると考えただけで身震い。見た目は一級品だし。





「テニスコートに無事について良かったわね?」

「どっかの魔女のお陰でね。」

「オホホホホ。何とでも言いなさい。」





案内して貰い着いたテニスコート。テニスコートの場所は前と変わって居なかった。コートが増設されていたこ事と遮る校舎が場所を曖昧にさせた。


今日ばかりは魔女様に感謝。彼等が居なければ辿り着けなかったと思うしね。





「そう言う蕾の方が魔女じゃない。高校生に色目使っちゃってさ?ケー番聞かれてたしね」

「あれは…」





桜子に痛いとこを突かれて思わず口を濁らせる。


複雑な気分だと眉を顰める。その理由が分かっているのか肩を振るわせ笑う桜子。





「蕾って現役女子高生だったの?―――ププッ」

「煩い」





笑う桜子を一喝。


―…そう。私だけ何故かタメ語だったのだ。桜子には敬語なのに。おまけに何処の高校なのかも聞かれた時には吃驚した。





「チッ。絶対桜子とは姉妹に思われてたし。全く心外だよ。こんな自己中なのが姉とかあり得ない」

「失礼ね〜!蕾が童顔だからじゃない!だいたい謝ったんだから良いでしょう?」




確かに私の年齢を聞くと即座に謝ったバスケ少年×3。それはそれは凄い綺麗なお辞儀を見せてくれた。流石体育会系だよね。久々に見たよ。あの熱さ。
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