こうして僕らは、夢を見る


少年は本気で私が誰だか分からず(当たり前。初対面ですから。)籃と呼ばれた少年に聞いている。





「おね〜さん。」

「だから誰だよ」

「さあ〜?」

「はあ?知り合いじゃねえのかよ。」





"籃"と話している男は悪態を付きながら肩にラケットを掛ける。




―……と言うよりも翌々見ればイケメンだ。それもかなりの。切れ長の目に耳に空いた数個のピアス。スポーツマンらしい黒髪だけどメンズ雑誌に載っているモデルのように格好良くセットされている。端正な顔を引き立てるのに抜かりない身嗜みだ。



観察するような私の視線に気が付いたのか意地悪そうな笑みを浮かべて私を見て来る。





「ハッ。見惚れてんのかよ?」





鼻で笑いながら「俺様を見るなら金取るぜ?」みたいな視線を向けてくる男。かなり性悪な少年だと察した。初対面でここまで不快感を与える来るのも凄いよね。



明らかに見下したような瞳を向けてくる少年にイラッとする。



頭から爪先まで無遠慮に見渡された挙げ句鼻で嘲笑われた瞬間。



――……ブチッ。



私の中でなにかがキレた。





「ってえ!」





思いっきり振り上げた脚は性悪男の脛にクリーンヒット。次は私が嘲笑う番だ。痛さに悶える性悪男はかなり無様。



だから"籃"は私の攻撃を喰らった男の無様な姿を見て、腹を抱えて笑っている。



ふんッ。いい様だね。これに懲りたらその見下したような視線は止めやがれ!お姉様を嘗めんなよ?
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