こうして僕らは、夢を見る
脛を押さえて痛みに耐える性悪男を嘲笑うと満足した私は今度こそ帰ろうとしたが――――――――腕を捕まれた事で止まる。は?
振り替えれば又もや"籃"
―――…ではなく。性悪男があの意地悪そうな笑みを浮かべて私の腕を掴んでいた。
はい?なッ、何?仕返しですか?私が脛を蹴ったから10倍返しでしょうか?この暑さだからマグマに突き落とされるとか?ヤバい。私の寿命も今日はかも。
「お前、名前は?」
「………は?」
「だから名前。」
予想外の問いに私は間抜け面。
「え?ま、マグマは?私を茹でて食べるんじゃ――――…」
「あ?何言ってんだお前。」
私を訝しげに見てくる視線は可哀想な子を見る目をしている。哀れみが込められた瞳で私を見つめる男。相変わらず生意気な瞳。
お、お前……!これでも私は年上のお姉様だぞ?しかもお前の制服は【光陽】私は光陽高校の卒業生ですけど!君の先輩に当たるんですけど!何だその態度は!捻くれた精神を鍛え直してやろうか!スパルタなんだからね?ワタシは。
口元を引き攣らせながらノンストップで頭の中を駆け巡る愚痴達。―――――――このとき絶対この性悪男とは馬が合わないと私は察知した。