こうして僕らは、夢を見る
出席率良すぎでしょ。
仲良しクラスじゃん。普通はそんな同窓会とか行かないよね?だって皆会いたくない子とか絶対1人くらい居るでしょ?やっぱり卒業したら気にしなくなるのかな?
「次は蕾も来いよ?」
「………うん」
「絶対来ねえつもりだろ。」
御名答ですよ崇さん。
きっと私は行かない。面倒だし。
「お前なぁ〜…、」
淡白すぎる私を見て呆れたように溜め息をつく崇。
「そんなに私に会いたかったの?」
幾度なく同窓会に私を出席させようとする崇を見てニヤニヤと頻りに薄笑いを浮かべる。
額に手を当てて溜め息をつく崇を下から覗き込むように見上げた。――――――冗談で言ったつもりだったのに。
「会いたくねえ訳ねえだろ。寧ろ会いたくて死にそうだったわ。」
一瞬呆気に取られポカンと崇を眺めた。
そんな私に崇はニンマリとする。漸く我に返った私も崇同様に満足気に笑みを浮かべて飛び付いた。
「会いたかったよダーリン!」
「俺もだハニー」
躊躇う事なく乗ってくれる崇。この遣り取りも久々で新鮮な気分。一昔前に戻ったみたいで楽しくなる。
そして崇の腕に自分の腕を絡め、首を傾げながら聞く。
「崇は何で光陽高校に居るの?」
「妹を迎えに。」
「恵ちゃん?部活?」
「違う。普通科だから部活とか入ってねえし。ただの下らない応援だ。何部かは知らねけど人気タレント並みにキャーキャー騒がれてる部の追っ掛けしてんだよ。馬鹿じゃねえのアイツ。」
「………」
崇の妹・恵(めぐみ)ちゃんとは顔見知り。崇の家にお邪魔した時とか光陽高校体育祭や文化祭などで幾度となく顔を合わせている。恵ちゃんが私の事を覚えているのかは別として。
その恵ちゃんは今や男の子の追っ掛けをしているらしい。
魂消た事に私は心当たりがある。その【キャーキャー騒がれている部】とやらに。
数分前に見てしまった、彼等が女の子達にキャーキャーと黄色い声で騒がれている姿を。
杞憂何かではない。彼等以外考えられない。アイドル顔負けの部活なんて早々ない。それに数分前に私は自分の目で確かめたから確証はある。
最悪だ。神様の悪戯?―――――まさか崇の妹の恵ちゃんがテニス部の追っ掛けなんて。
信じ難い事実が発覚。
狼狽える内心を隠しながらソッと崇の腕から自分の手を離す。
急に静かになった私を不信に思った崇が訝しげな眼差しを向けてきたがヘラヘラ笑って誤魔化した。