こうして僕らは、夢を見る





そして話は恵ちゃんに。





「きっと恵ちゃん凄く可愛くなってるんだろうなぁ。確かあのときはまだ小学生だったから。ウルトラ級の美少女になってそう!」

「変わってねーよ。明らかに蕾の方が変わっただろ!」

「え!?崇、さっき変わってないって言ったじゃん!」

「"中身は"だろ?外見はかなり変わってる。後ろから見ても誰か分かねーし。別人だ。」

「そう?」

「おー」





確かに私自身も変わったとは思っているけど、いざ人に言われると変な感じがしてならない。



やっぱり変わったんだ、と実感させられる。



昔は黒髪のショートカット。まだハニーブラウン色に染めて居らず地毛色。化粧っ気もなく素朴な顔。女っぽさなんて皆無で男の中に交じっても違和感は無かった。



崇の"変わった"って良い意味で、変わったと言うことかな?それとも悪い意味?――――――考えても分からないや。





「お前が来てるとか半信半疑だったけどな。」





その言葉に「ん?」と頭を捻る。私が光陽高校に来ている事を何で崇が知っているのかと思った。



怪訝な顔をする私に気がついたのか崇は言う。





「職員室に行ったんだよ。久々に逢う教師に顔を見せに。そしたら蕾も光陽に来てるって聞いたから捜してたんだよ。」

「え、誰に?」

「女王様。」

「ああ。桜子ね。」





ここで納得するのもどうかと思うが女王様なんて1人しか居ない。皮肉にも女王様=桜子と分かってしまった。



てっきり崇は桜子と私を捜して居たのかと思い辺りをキョロキョロと見渡すが、



―……居ない。





「あれ?桜子は?」

「笹室のやつに言い寄ってたぜ?メアド無理やり聞き出してた。」

「流石肉食系」

「見てたら邪魔だって職員室から追い出されちまったわ。」

「さ、さくらこ……」





背に腹は代えられないらしい。崇の事よりも笹室先生への執着心の方が上だったみたい。



崇を邪険にしたらしい桜子に呆れる。きっと桜子自身、その行動に悪気は無いから尚更。



笹室先生への要件が終われば何事も無かったかのようにコロッとしていると思う。余計に質が悪い。
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