こうして僕らは、夢を見る
話からすると桜子は当分帰って来る気配は無さそう。
私同様、崇もそう思ったのか…
「これから暇?どっか行かねえ?車で来てっから乗せてやるよ。」
「恵ちゃんは?」
「あ――…アイツは放っておけばいいって。1人で帰るだろ。待っててもキリが無い。飯食いに行こうぜ。お前って和食派だよな?」
「うん。茶碗蒸しと抹茶が好き」
「ならさっさと行こうぜ。」
ガシッと肩に腕を回される。馴れ馴れしいのは毎度の事だから狼狽えはしない。
抹茶アイスと桜餅が食べたいな。でも蕎麦が食べたい気分!今なら掃除機のように蕎麦を吸える。
―………って何流されてんの私!試合よ!試合!私は試合を見に来たんだから!慌てて肩に回された腕から抜け出そうとする。でも、
「あ。ガッチリしてる――…」
昔よりも更にガッチリとした腕が目に止まった。
昔より更に磨きの掛かった筋肉。ムキムキじゃん!私の身体なんか軽々と片腕で持ち上げられそう!
興味深く日焼けされた腕をペタペタと触る。
「まあ、ジムで鍛えてるからな!これでもサーファーだぜ?趣味の範囲程度だがな。結構陽焼けしてんだろ?海の男って感じで。」
「ほぉ―………」
感心した吐息を零す。マジマジと腕を見つめて触る手は止めない。堅い腕が私には衝撃的だった。サーフィン止めて無かったんだね?確かに日焼けした肌が海の男っぽいよ。