こうして僕らは、夢を見る












―――――――――
―――――‥






「えー!楓君ってホラー映画が苦手なの?いがーい。ヒトは見掛けに寄らないのね〜?」


「全くだな。」


「そんでもってホラー映画見た後楓君いつも泣いてんの〜。特番の【夏の恐怖の心霊映像100選】とか見て号泣だぜ?まじ勘弁。」


「泣いてねえよ!嘘つくなよ籃!朔も乗らなくて良い!お前は最近可笑しいぜ!?何で乗るんだよ!いつもスルーしてたじゃねえか!つか誰だよ、そこのケバい女!」


「やだー。酷ーい。ケバいなんて言わないでよ。傷ついちゃったわ。えーんえーん。」


「桜子姐さんが可哀想じゃね〜の。楓君、もうちょいレディーには優しくしよ〜ぜ?桜子姐さんが泣くと俺も悲しいわ。しくしく。」


「俺も悲しい。ひくひく。」


「いやいや。朔、それちょっと違わね?」


「そうか?」


「素で惚けるから反応困るわ〜。茶目っ気もあるしよ。」


「あら。朔君は天然なのね。」


「んな事どうでもいいわ!顔ニヤついてる癖に泣き真似すんな!ついさっき会ったばかりの奴等が何で意気投合してんだよ!?オイ、涙も何か言ってやれ!」


「……暑い」


「っチゲえ!暑い!確かに暑い!コイツらが暑さを増させてるからな!ウザい熱気が鰻登りで急上昇中だ!だか違う!もっと罵れ!」






私の数歩前で繰り広げられる遣り取り。



桜子が加わるだけで、こんなに騒がしくなるなんて想定外だった。楓君が憐れすぎる。桜子は楓君がお気に入りらしく先程から籃君と朔君とからかっている。



その横では涙君がボーッとしながら歩いている。お、起きてる?涙君は見てて危なっかしい。



面子に朔君が居る辺り驚愕。でも朔君と桜子は何故か波長が合うらしい。然り気無くヒトをからかう所とか茶目っ気とかね!






「白状しちまえよ。ホラー苦手だろ?非現実的存在を信じてるしな。小学生時代夏休みの自由研究で未確認非行物体とNASAについて本気で調べたお前がスゲ〜よ。」


「あれはノーベル賞ものだ。俺はあの日初めて楓を尊敬した。」


「別に霊が苦手な訳じゃねーよ!―――――き、嫌いなだけだ。」


「きゃあ!もうっ、顔真っ赤じゃない!照れるところとか可愛い!幽霊が嫌いなのね!?大丈夫よ!桜子姐さんが守って上げる!ほらお守り!これ持ってると霊避けになるわ!かなり効果のある代物よ?物産で仕入れたの。」


「ま、まじか!?霊避けだと!?そんな大事なものを俺に………………っ恩に着るぜ!桜子姐さん!数珠は大事にするからな!これで長生き出来る!」


「やーん!何この子!可愛い!」






何なんだ、この展開。



会話可笑しいでしょ!?



楓君が桜子姐さんに懐き始めた。霊避けの数珠効果で。それって、百均で買った只のアクセだよね?意外に楓君は純粋なんだから騙しちゃ駄目だよ。



でも桜子に懐く楓君が意外過ぎる。私も数珠上げたら懐いてくれるかな?生憎非科学的な物は信じて無いけど。だけど意外。楓君が霊を信じているなんて。
< 167 / 292 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop